連続小説
『ザ・グレイトバトルCROSS 〜鋼の勇者達〜』
第2話『飛び立て!大空魔竜』


コンパチワールドに謎の巨大な大穴が出現した翌日。
巨大な物体の一つが落下したと思われる海域に、シャリバンを始めとしたS.D.Pの調査チームが急行し、調査を開始していた。
また彼らだけでは海中を調べきれないという事で、仮面ライダーXやアビスガンダム、ガンダイバーといった面々や、
ゲスラ・ガマクジラ・タッコング・ザザーンなどの現地に住んでいる海の怪獣達にも協力が要請された。

「こちらシャリバン、現在ウルトラ警備隊より拝借した深海艇ハイドランジャーで水深500m付近を調査中ですが、未だ
落下したと思われる物体は依然確認できません。どうぞ」
「こちらギャバン、了解した。さらに水深を上げて調査を続行してくれ」
「了解」
PPPPPP・・・・
本部で待機中のギャバンへの無線を切ったシャリバンの下へ、他のメンバーからの連絡が入ってきた。
「こちらXライダー。付近をあらかた捜査してみたがそれらしき物体は確認できなかった」
「うーっす、こちらアビス。一応探してみたけど馬鹿でかいブツなんて発見できねーぜ?」
「エビラだ。この辺にいるのは魚ばかり、巨大な物体は猫の子一匹見当たらんぞ?」
「わかった。すまないがもう少し調査に協力してくれ」
連絡を切ったシャリバンはその報告を聞いて頭を悩ませていた。
「(調べによれば落下した物体は全長400mを超える巨大な物体・・・それだけの巨体が忽然と消えるなどありえないはずだ。
一体どこへいったというんだ?)」

だが、そんな彼らを見つめる影が密かに存在していた事実を、この時誰も知らなかった。
「・・・・・・しばらく様子を見ていましたが、どうやら彼らはこの世界の住人のようですね。しかし今迂闊に彼らと接触するのは
あまり得策ではないでしょうし・・・ここは本隊の皆さんの支持を仰ぐとしましょう・・・」
そう言ってその影は気付かれる事のないようゆっくりと海中深くへと潜行していったのだった・・・

「ん?今誰かに見られていたような気がしたんだが・・・気のせいか?」
長い首をキョロキョロさせながら一人気配に気付いたマンダだったが、影の存在を確認するまでには至らなかった。


所変わって場所はギアナ山・ガンダムシュピーゲルの隠れ家。
前日山中でシュピーゲルによって運ばれた自称「漆黒の王子」は、その後傷の手当てをされると共に安静に眠らされていた。
「・・・・・・・ッ!?・・・・・・」
彼は未だ眠っているものの、酷くうなされた様子でうめき声を挙げていた。
「(この無数の傷、このうなされよう、そしてあの時の瞳・・・一体彼に何が・・・)」
彼の身を案じつつ、シュピーゲルは一層考えを深めていった。
「シュピーゲル」
声と共に隠れ家の中に入ってきたのは、下半身が釣鐘のような形状になったガンダム族・マンダラガンダムだった。
「マンダラ殿か」
「話は一通り聞いた。おぬしももはや察していると思うが、こやつは異世界からやって来たと考えて間違いなかろう」
「昨日コンパチワールドの上空に現れたという巨大な穴を通って・・・ですな?」
「うむ。姿形を見ても分かるようにこやつはどの種族にも属しておらぬ。そしてコンパチワールドの事を知らぬとなると、そう言う事に
なるであろうな」
シュピーゲルとマンダラは漆黒の王子を見つめた後、互いの顔を見合わせた。
「これはわしの推測じゃが・・・もしやしたらこやつの出現は、いずれコンパチワールドに大きな争いをもたらすのではないかと
わしは睨んでおる」
「それは真ですか?」
「あくまでもわしの勘じゃがの。話によるとあの穴から出てきたのはこやつ以外にも存在するらしい。それが敵か味方かは
わしにも分かりかねるがの」
腕組みをしながらマンダラガンダムは眉をひそめた。
「とにかく今は情報が圧倒的に足りない。できればこやつからもう少し話を聞かなくてはな」
「わかりました。後の事は私にお任せください」
そう言ってマンダラガンダムが立ち去ろうとした時である。
「・・・・・・・・・ぐっ・・・・・・俺は・・・・・」
彼、「漆黒の王子」が目を覚まし、弱弱しい声を出すと共に辺りを見回し始めたのだ。
「気がついたか」
「・・・貴様は・・・」
「心配はいらん、わしもシュピーゲルもおぬしに危害を加えるつもりは毛頭ない。それよりおぬしに聞きたい事が・・・」
ガバッ!
マンダラガンダムが言いかけたと同時に、漆黒の王子は急に起き上がり、家の外へ出ようと歩き始めた。
「何処へ行く!?まだ傷は完治していないのだぞ?」
「要らぬ世話だ。俺には一刻も早く成さねばならない事がある、こんな所で寝ているわけにはいかない」
強気な発言をしつつも、彼の足取りはおぼつかなかった。
「そこまでの決意・・・おぬしが成さねばならない使命とは一体何なのだ?」
「貴様に答える義務はない。あったとしても貴様には関係ない事だ」
そう言って彼は引き戸になっている扉を開いた。
ガンッ!!
「がっ!?」
「あべしっ!?」
と、その瞬間都合の悪い事に、彼は偶然扉の向こうにいた人物と激突してそのまま気絶してしまった。
「痛〜〜〜〜っ・・・ったく何や何や、急に飛び出してきたら危ないやないか!」
その人物は不恰好な鎧を着て背中から旗を下げた男、スカイライダーの相棒を名乗るヒーロー(一応)がんがんじいだった。
「がんがんじい殿ではないか、何故このような所に?」
「ああシュピーゲルはん、実は・・・ん?何やこの見るからに悪そうな黒い兄ちゃんは?モビルスーツ族の新顔かいな」
「こやつは先日シュピーゲルが山中で助けた男で『漆黒の王子』を名乗る輩だ。少々訳ありでの」
「へ〜っ、何やこじゃれた名前の兄ちゃんやな・・・っと、それは置いといて、シュピーゲルはんに伝言を頼まれて来たんやったわ」
「私に伝言?」
「マスターガンダムのおっちゃんからや。今日の夕方5時にバードン火山のふもとで話したい事があるんやて」
がんがんじいは身体についた砂を払いつつ用件を話した。
「バードン火山」とは、コンパチワールドにある火山の一つで、火山怪鳥バードンが火口に巣を作り住み着いていることからその名が付けられた
山なのである(ちなみに現在は諸事情により休火山の状態)
「マスター殿から?一体何故・・・」
「ワイも詳しくは知らへんのやけど、どうもこないだ空に出来た大穴に関係あるらしいで?」
「!?・・・承知した。マスター殿にはよろしく伝えておいてくれ」
一瞬驚いたものの、シュピーゲルはすぐに落ち着いた様子で答えた。
「ほなワイはおいとまさせてもらうわ。今日は喫茶『アミーゴ』がお客様感謝デーで全品半額中やからなぁ」
そう言って停めていた愛用の原付スクーターにまたがり、がんがんじいは帰路に着こうとした。
だが、その時である。

ドガァァァァァァァァァァァン!!
突如として山の反対側から巨大な爆音が響いてきたのである。
「おわぁぁぁ!!な、何事や?地震か雷か火事か親父か、それともダークブレインか〜〜!?(汗)」
突然の出来事にがんがんじいはスクーターから転げ落ち、パニックに陥る。
「落ち着くのだがんがんじい殿、方角から察するにどうやら音源は町の方かららしい」
「シュピーゲルよ、こやつはわしに任せておぬしは町へ向かうがよい。どうにも嫌な予感がする」
倒れている漆黒の王子を担ぎ上げ、マンダラガンダムはシュピーゲルに町へ行く事を促した。
「承知。がんがんじい殿、行くぞ!」
「ちょっ、シュピーゲルはん、待ってーなー!(汗)」
風のようなスピードで走り抜けるシュピーゲルを追い、慌ててがんがんじいもスクーターに乗って追走を始めた。
「嫌な風だ・・・これまでとは違う何かが、この世界に起きる・・・そんな感じだの・・・」
二人を見送りつつ、マンダラガンダムは頭から離れない不吉な予感に眉をひそめたのだった。


ギアナ山をはじめとする山脈の反対側に位置するコンパチワールドの市街地。
その中でももっとも人通りの多い『サンライズ繁華街』で事件は起きた。
突如市街地の上空に現れた謎の巨大な戦艦と、戦艦から降下してきた謎の軍団の出現により、その場にいた住民達は半ばパニックに
陥ってしまっていた。
駆けつけたヒーローやライバル、S.D.Pの面々が謎の軍団に応戦を始めたものの、敵もかなりの物量と強さを誇っていた為に
思わぬ苦戦を強いられていた。

「行けっ、フィンファンネル!」
「エメリウム光線!」
「チェーンジ、冷熱ハンド!超高熱火炎!!」
「キャプテンパーーーーンチ!!」
ドガガガガガガガガガガァァァァン!!
次々と迫り来る敵の軍勢に攻撃を繰り出すヒーローとライバル達だったが、徐々にジリ貧になりつつある現状を
皆が感じ取っていた。
「くそう、いきなり現れて何なんだこいつら!?」
「それは今はどうでもいい、とにかく町への被害を最小限に食い止めるんだ!」
突然の敵の大群に怒りの声を上げるウルトラマンタロウをZガンダムがなだめる。
「くっ・・・一体一体はなんとかなるが、流石に数が多い!」
仮面ライダーV3が呟いた通り、戦艦から現れる敵は球状の赤い戦闘機、クラゲのような怪物、黄色い飛行機のようなマシン
といった戦闘員的な面々がほとんどで、相手はまさに数の質量で押しているといった感じであった。
「これぞまさに『戦争は数だぜアニキ!』って状況だな」
「ふざけてる場合か!次が来るぞ!」
どこかで聞いたような台詞を吐くゴジラにメカゴジラ(機龍)が怒声を浴びせる。
「当たれぇーーーーーッ!!」
ストライクフリーダムの声と共に彼の手持ちの銃火器と遠隔兵器ドラグーンが一斉に火を噴き、敵の軍勢は1/3程薙ぎ払われた。
「よし!」
『グォォォォォォォォォォン!』
ズガガガガガガ!
「うわぁぁっ!?」
喜びもつかの間、彼の背後から敵の仲間であるカブト虫のような怪物が頭の角で体当たりを繰り出してきた。
「邪魔だ!」
ドババババババババ!!
『グォォォォォォォォン!?』
だがレッドキングが口から吐き出した爆発性の岩石の嵐を受け、怪物は爆発四散した。
「・・・ありがとうございます、レッドキングさん」
「いいってことよ。見たか?俺の新必殺技を!」
ストライクフリーダムに肩を貸すと共に胸を張って自慢するレッドキングだった。

「やるなレッドキング、俺達も負けちゃいられないぜ」
「ああ、あいつやヒーロー達ばかりにいい格好はさせないぜ」
同じく敵を迎撃していたジオングやゴモラ、ガラガランダ達は最近パワーアップしたレッドキングを見てやる気を高まらせていた。
「それにしてもこの数は厄介だな・・・戦艦を叩きに行ってる連中はどうしてる?」
「今必死こいて戦艦を攻撃してる最中ザコ」
「でもかなり硬いみたいで全然効いてないっぽいザコ〜(汗)」
グラップラーグフに聞かれ、ザコソルジャー達が単刀直入に答える。

「スカイスクリューキーーーック!」
「ガルネイドボンバー!」
「おおおっ!ブロウクンマグナムッ!!」
「ダブルトマホゥゥゥゥクブゥゥゥゥメランッ!!」
「ドム〜ッ、とにかく撃つべし、撃つべし、撃つべしドム〜ッ!」
「って、それ俺の台詞ジャン、勝手にパクるなこの武器魔!!(怒)」
一方空中では、先ほどのザコソルジャーの言葉通り空中戦の得意なメンバーが中心となって敵の戦艦を撃墜しようとしていたのだが、
敵も頑強な装甲を誇っているらしく未だに傷を付けられない状態にあった。
コムサイに乗って武器を乱射しまくるデストロイヤードムに台詞を取られたチータスが憤慨していたが、これは今は
置いておこう(笑)
「くっ・・・なんという硬さだ。それにこの造形、美しくないぞ!」
翼の騎士ゼロの言葉と同様に、その敵戦艦の形状はまるで岩で出来た巨大な手のひらのようであり、指にあたる部分には
顔のような形が見られてかなり醜悪なものであった。
ズガガガガガガ!
「いかん、避けろ!」
さらに戦艦からは当然のようにミサイルやビームが撃ちだされ、各メンバーを撃ち落さんとしていた。
「このままでは被害が増す一方だ。ここは一点集中で大火力の攻撃を繰り出すしかない!」
「それなら俺達の出番だ、行くぜグレート、ゲッター!」
「マジンガー!」
「あの手で行く気か・・・よし、任せろ!」
駆けつけたマジンガーZの呼びかけを聞き、グレートマジンガーとゲッターロボGが声を揃えた。
「ブレストファイヤー!」
「サンダーブレーク!」
「ゲッタァァァァビィィィィム!」
「「「ファイナルダイナミックスペシャル!!!」」」
ドガァァァァァァァァァァァァン!!
3人の合体技が火を噴き、戦艦の胴体部は大爆発を起こし、もうもうと煙を上げ始めた。
「よし、効いてるぞ!」
「今がチャンスだ、攻撃の当たった部分に一気呵成に攻め込むんだ!」
「「「応ッッ!!」」」
この機を逃すまいと、ヒーローとライバル達はファイナルダイナミックスペシャルの命中した箇所めがけて一斉射撃を
繰り出そうとした。
だが、その時である。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・
「な、何だァ!?」
彼らの上空から、もう一機の巨大な戦艦が突如として姿を現したのである。
その戦艦はまるで巨大な頭蓋骨のような形状をしており、その上部には何やら城の様な乗っているというまさに骨(スカル)と
城(ルーク)の融合メカであった。
「手のバケモノのお次は骨のバケモノかよ、今日は満員御礼だな」
「敵の増援か?」
「どうやらそうらしいぜ!」
地上で交戦中のゴジラ達が苦笑いを浮かべる中、骨の戦艦から続々と奇怪なロボット軍団が投下されはじめた。
毒蛾のような者、鉄球を振り回す者、クワガタのような者が、次々と着地して町を破壊し始める。
「何人来ようと関係ねぇ!いてこましたれ!」
「「「おおっ!!」」」
レッドキングの叫びと共に、エレキング・ゴモラ・バキシム・グドンといった怪獣軍団が一斉にロボット軍団に飛び掛った。
「待て、うかつに飛び込むな!!」
気付いたゼットンが制止するものの、激昂したレッドキング達の耳には無情にも届かない。
ドガァァァァァァァァァン!!
「おわぁ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?」
ロボット軍団の一斉砲撃により、一直線に突っ込んできた怪獣達はボウリングのピンのごとく盛大に吹っ飛ばされた。
「ええい、だから言わんこっちゃない!」
呆れた様子で言いながら、ゼットンは飛んでくる敵を正確にメテオ火球で叩き落し続ける。
「いっけぇーーーーっ、ハイメガキャノン!!」
「ターゲット確認・・・ツインバスターライフルを発射する」
「ラシード、みんな、頼みます!」
ドガガガガガガガガガガガ!!
ZZガンダムやウイングゼロカスタム、サンドロック率いるマグアナック隊の一斉射撃により次々と増援は薙ぎ払われるものの、
際限なく新手が降下してくるために一向に数が減らない。
戦艦攻撃チームも先ほどの増援で意表を突かれ、砲撃をかわしながら牽制を続けるのが精一杯の状態だった。
ドゴォォォン!
「うあああああああ!?」
「ぐはっ!」
「ドム〜〜〜〜〜〜〜ッ!?」
その間に攻撃を受け戦線を離脱するメンバーも増え始め、コンパチヒーロー軍団は目に見えて劣勢になり始めていた。
「くっ・・・このままではまずいぞ!!」
「味方の消耗率40%を突破、なおもアンノウン側の増援は継続。現状が続けば我々の全滅の可能性は82.6%だ」
焦りを見せるガンダムF91の横で、キャプテンガンダムが冷静に現状を分析した。
「馬鹿野郎!縁起でもない事を言うんじゃねぇ!!」
「ああ、ヒーローたるもの例えどんな状況にあろうと諦めたらいけない!」
それを聞いて仮面ライダーストロンガーと怪傑ズバットが叫ぶ。
「せめてこちらも巨大戦力があれば!」
「ホワイトベースやアークエンジェル、ミネルヴァは使えないのか?」
「最悪な事にどれも現在アナハイムの修理工場でオーバーホール中だ!」
「宇宙刑事チームの戦艦は?」
「この大破壊の影響でS.D.P本部の出撃ハッチが埋まっちまって出動は無理らしい!」
「ちなみに仮面ライダーJ達巨大化できる面子は既に戦線を離脱しちまってる!」
「何か無いのか・・・この状況を打破する打つ手は!」
苦虫を噛み潰すような表情でウルトラマングレートが二隻の戦艦を睨みつけた。

「どうやら戦況は思わしくないらしい・・・急がねば!」
「ああ、こらあかんわ。町が火の海やないか〜、なんやでっかい手と骨の怪物もおるし〜」
市街地へと続く高原を己の足とスクーターで走りながら、シュピーゲルとがんがんじいは火の手が上がる街を見ながら
焦りを募らせていた。
ちなみにがんがんじいのスクーターはあまり早くないので、既にシュピーゲルのだいぶ後方に離されていた(汗)
「待っとれよみんな、今この日本一のヒーローがんがんじいが救援に駆けつけるで〜!」
そう言いながらがんがんじいがスクーターのスピードをさらに上げた時である。
「むっ・・・・」
「おわ〜〜っ、とっとっとっとっ!」
ドンガラガッシャーーーーン!
急に歩みを止めて立ち止まったシュピーゲルを避けようとして、がんがんじいは盛大にズッこけた。
「ったくなんやなんや、危ないやないか!車は急に止まれへんで!(怒)」
憤慨するがんがんじいだったが、シュピーゲルの目線は反対方向に向けられていた。
「・・・がんがんじい殿、あれを見よ」
「はい?」
そう言ってシュピーゲルの指差す方向に見えるのは、一面の大海原。
「あれを見よ言うたかて・・・ただの海やないか。あと見えるのはカモメの水兵さんだけやで?」
がんがんじいが言った、まさにその時。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・
突如海の一部から轟音が響き、そこから巨大な水しぶきが上がり始めたのである。
「なっ・・・・何か出てきよるで!?」
「あれだけの大きさとこの音・・・もしや?」
そして数秒後、そのしぶきと共に姿を現したのは・・・
バシャァァァァァァァァァァァァァン!!
「これは・・・・」
「どわぁ〜〜〜〜〜〜〜〜っ、か、怪獣や!馬鹿でかいロボット怪獣が出よった〜〜〜〜〜!!(汗)」
がんがんじいが目撃したのは、有に400mはくだらない巨体を誇り、ドクロのような顔に二本角を生やした頭部を
持ち、4速歩行型のまさに怪獣と呼んで差し支えない物体だった。
その怪獣は海を飛び出し、羽も無いのに今まさに空へと飛び立とうとしていたのである。
「がんがんじい殿、あれは怪獣ではない。どうやらあれは戦艦のようだ」
「せ、戦艦やて!?」
どう見ても怪獣にしか見えない存在を戦艦と言われ、がんがんじいは困惑せざるを得なかった。
「ロボット怪獣といえど命はある、だがあの存在自体からは生命の息吹が感じられぬのだ。それにあの内部から多数の気を
感じられる、人工物と見て間違いなかろう」
「ほ、ほんまかいな・・・・」
その間に当の怪獣戦艦は、なんと今まさに激戦が繰り広げられている市街地へと方向を定め、飛び始めたのである。
「ああっ!あの怪獣、町の方に向かっとるで!?」
「町を襲撃している戦艦の仲間か、それとも・・・」
「急がなアカンわ!!」
「うむ!」


「くっ・・・駄目だ、キリが無い!」
無尽蔵に現れる軍団に圧倒され、迎撃を続けていたロアは片膝をついて座り込んだ。
「もう駄目だ・・・このままじゃ俺達が負ける!」
「くそう、ここまでかよ!?」
その状況に、ウルトラマンマックスやディスティニーガンダムといったルーキー達は絶望の表情を浮かべた。
「うあああああああ!!」
「ごはっ!?」
「イーーーーーーーーーッ!?」
「ザコーーーーーーーーッ!?」
それに呼応するかのごとく、次々と倒れていく仲間達。
「ちくしょおおお、負けてたまるかよぉぉぉ!!」
「怪獣のど根性見せたるーーーーっ!」
それでも諦めずに戦うコンパチヒーロー達だったが、もはや大多数が戦線を離脱してしまい、残ったのはごく少数の面子だけ
だった。
誰もが彼らの敗北を疑わなかった、その時である。
「むっ・・・何だこの音は?」
ウルトラヒーロー達は突如としてウルトライヤーに聞こえてきた轟音に耳をすませた。
「どうした?」
「何かは分からんが、こちらに巨大なエンジン音が向かってきている!」
「なんだって!?」
そうウルトラマンが次げた、数秒後。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・
「なっ・・・・・アレは!?」
「何だぁ!?」
轟音と共に、市街地の上空に現れた巨大な影。
「か・・・・・・・・」
「怪獣?」
それは先ほど海から出没した、謎の怪獣戦艦。
その突然の来襲に周囲のヒーローやライバル達は戸惑いを隠せなかった。
「ま、まさかこの期に及んで敵の増援じゃ・・・」
ロアは呆然としながら戦艦を見つめていたが、そのため背後からサソリのような怪物が迫っている事に気がつかなかった。
そしてサソリの怪物はロアに尾の先のドリルを繰り出さんと猛然と飛び掛ってきた。
「!?」
ロアはその気配にようやく気がついたが、時既に遅くサソリの尾は目の前に迫っていた。
「(駄目だ、避けられない!)」
ロアは胴体に風穴が開くのを覚悟して目を瞑った。
だが、まさにその時。

「唸れ!T−LINKナッコォォォォォォォォォォォォォォ!!」
ドガァァァァァァァァッ!!
ロアの上空から現れた影が、光り輝く拳でサソリを殴り飛ばしたのである。
サソリはそのまま壁に激突し、数秒後に閃光と共に爆発を起こした。
「・・・・おいアンタ、大丈夫か?」
そう言いながらロアの前に現れた影は、ガンダム族のような姿をしたロボットだったが、どことなくMSとは違う雰囲気を
発していた。
「はい・・・・あ、あなたは?」
「通りすがりの正義の味方さ。後は俺達に任せときな!」
彼はそう言い残し、敵の軍勢がはびこる中に猛然と駆け出していった。
「ロア、無事か?」
その後ロアの元にF91とRXが駆け寄り、彼を抱え起こした。
「大丈夫です先輩、それよりあの巨大怪獣は・・・・」
「わからん、だが・・・・」
「どうやら敵じゃないらしいぜ?」
「えっ?」

『3時の方角に敵戦艦2隻、ガンテとスカールークです!』
『よし、迎撃部隊各機出動!敵を殲滅せよ!』
怪獣戦艦から響いてきた声と共に、次々と影が飛び出し陸と空に散らばっていった。
「やはり奴らもこの世界に来ていたか」
「まったく、余所でまで迷惑かけるなんて、あいつららしいわ!」
赤いカラーリングで勇壮な角を持ったロボットと、白いカラーリングの大型ライフルを手にしたロボットがそう話しながら
市街地へと降り立った。
「各員、俺に続け!」
『了解!』
その声と共に、現れた影・・・様々なロボット達は敵の群れへと突っ込んでいった。
「どんな装甲でも・・・打ち貫くのみ!」
「オクスタンランチャーで決めちゃうわよ!」
赤いロボットは右腕に装着されたパイルバンカーで敵を打ち抜き、白いロボットは遠距離からライフルで的確に敵を狙撃して
いった。
「うおおっ、ドリルブーストナッコォ!!」
「オラオラオラオラーーーーッ!」
「ターゲットインサイト、ハイゾルランチャー発射!」
「ストライクシールド、行って!」
「切り裂け、T−LINKブーメラン!」
それに続き、先ほどロアを助けたロボットとその仲間達も次々と敵を殲滅していく。
そして空中でも同じ光景が見られた。
「ゴォォォォォォッド、ゴォォォォォガン!!」
「超電磁ヨーヨーーーーーーーッ!!」
「超電磁ゴマァァァァァァ!!」
「ファァァァァイブシュータァァァァァァ!!」
「行くぜ!断・空・剣!!」
「ダイターーーーーンハンマーーーーーーッ!!」
「ゴーーーーフラッシャーーーーー!!」
「ザンボットカッタァァァァァァ!!」
地上の面々とはまた違う大火力を持ったロボット達が、襲い来る軍勢を戦艦もろとも攻撃し続ける。
その間にも動揺していた敵はみるみるうちになぎ払われ、残すは戦艦のみの状況を作り上げてしまった。
「す、凄い・・・・」
「彼らは一体何者なんだ・・・・」
あまりに早い状況の変化に、ヒーローとライバル達はついていく事が出来ず、呆然とするばかりだった。
「残るはデカブツの戦艦か!」
「よし、俺に任せろ!」
そう叫んだのは、先の怪獣戦艦の頭部のような胴体を持つ2本角のロボット。
よく見ると戦艦の頭部はなくなっており、その先には首が残るのみだった。
「こちらガイキング、大空魔竜、ジャイアントカッターを頼む!」
『了解!ジャイアントカッター!』
ガイキングという名のロボットの要請を受け、「大空魔竜」と呼ばれた戦艦の底部から何処に入っていたのかと思うほど
巨大なギロチン型カッターがせり出した。
すると何を思ったのか、大空魔竜はいきなり体勢を逆さに変えてそのままガイキングめがけて落下してきた。
「おりゃあああああっ!」
だが当のガイキングはなんとその巨大戦艦を、気合と共に両手で受け止めたのである。
『何ぃぃぃぃぃ!?』
これには周りにいたヒーロー達も度肝を抜かれる。
「ジャイアントカッターーーーーーーーーー、逆さ斬りだーーーーーーーーーーーっ!!」
そしてガイキングは逆さの大空魔竜を抱えたまま、敵戦艦に向けて突っ込んだのである。
そのスピードは思いのほか速く、2隻の戦艦は瞬時に回避行動を取る事が出来なかった。
「だりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ズバァァァァァァァァァァァァッ!!
そのまま一直線に突っ込んだガイキングは、ジャイアントカッターで2隻の戦艦を同時に叩き斬ったのだった。
これにはさしもの戦艦もたまらず、黒煙を上げながらヨロヨロと逃げ出していく。
「逃げるか!」
「待てガイキング、深追いは禁物だ。まずはこの街の救助活動が先決だ」
「そうです。関係ないこの世界の人々を巻き込んでしまったのですからね」
そうガイキングに語りかけたのは、まるでプテラノドンとブラキオサウルスのような姿の小型ロボット2体だった。
「確かにそうだな・・・・まずは1回の表が終わったという所か・・・・」


「ガーンガーンガンガラガンガ、ガンガガンガガーン!みんな、待たせたな!日本一のヒーローがんがんじいが助太刀に
来たで〜!さぁ、矢でも鉄砲でも来んかい!!」
「もう終わったよ、がんがんじい」
「んなっ!?」
その数分後、シュピーゲルとがんがんじいは市街地にたどり着いたが、既に戦闘は終結した後だった。
スカイライダーの言葉を聞き、愕然とするがんがんじい。
「なんや〜、ほなワイは何のためにここまで走ってきたんや〜?」
「気を落とすながんがんじい殿。今はこの街の復興作業の最中、それを手助けしようではないか」
「おお、せやな。めげてばかりじゃヒーローはやっとられんわ!ワイも早速手伝うで〜〜!!」
そう言いつつガレキを撤去中の怪獣や怪人達に混じって手伝いを始めるがんがんじい。
「しかし、奴らは一体何者だったんだ?」
「ああ・・・・さっき俺達を助けてくれたロボット達の一人が、後で説明してくれるらしいが・・・」
「彼らもまた何者かは不明だが・・・どうやら敵ではないらしいな」
「おお、こうしてぶっ壊れた町を直してくれてるんだからな。敵ならんな事はしねぇって」
「だが、イヤな予感がするな・・・」
「俺もだ。なんだか馬鹿でかい事が起きる、そんな予感がするぜ・・・」
F91やRX、グレートやゴジラはそう言いながら、復興作業を続けた。


<あとがきがわりの次回予告>
突如コンパチワールドに姿を現した謎のロボット軍団。
彼らの口から語られたのは、驚くべき事実だった。
そして再び現れる謎の敵軍勢。
未曾有の事態にヒーロー達は共闘を申し出るものの、それを拒否するロボット達。
果たしてコンパチワールドの運命や如何に!?
次回、ザ・グレイトバトルCROSS 第3話『その名はαナンバーズ』!!
君は、時の涙を見る・・・・





第2話の出産おめでとうございます(笑)
前回の感想で言った勝利の鍵は、ノリで言いましたがまさに勝利の鍵でしたね。
ヒーローとライバルが適度に配分されて、これぞクロスオーバーの肝!

てっきり本来のコンパチヒーローに基づいて書く思ってましたが
ビーストやガオガイガーが出てたり、
小刻みにスパロボネタをするコンパチにうきうきさせてもらいました。


では、最後にこの人から一言
 ゼータガンダム 「漆黒の王子、君は怪我人なんだ!」