「くそっ!」ガン、と拳を壁に叩きつける。
「止めなさい。悔しいのは私たちも同じよ」リフィル・セイジが、壁に当たっている少年―――ロイド・アーヴィングをたしなめる。
「けどよ、先生!」
「分かっています。彼等―――『武者』のうち2人がミトス達にまんまと連れ去られていった悔しさはね」
「なら、どうして!!」
「深追いするわけにはいかないからです。異世界からの敵―――実力は分かったでしょう?」
「っ!・・・」
「待ち伏せされている可能性だってあるのよ?その時は敵の思うつぼです」
「・・・」
「武者達も自分達の仲間を助けに行きたいのをこらえているのよ?感情だけで動いては、必ず墓穴を掘るわ」
「・・・」
「これから私たちは今後の話し合いに行きます。何とかして助け出しに行くから―――それまでこらえなさい」
「・・・はい」ロイドはそう言うと、大人しく自分の部屋に向かった。

第3話/2 〜データの国のアリス〜

 

―――数分後、ロイドは飛行竜の格納庫でハッチを開けていた。
「ごめん、先生・・・やっぱ俺、こらえ切れねぇや」
レアバードを起動させ、乗り込もうとした―――その時。
「・・・オイラも、乗せてくんねーか?」
「お前・・・確か・・・」
「破牙丸だ、いいから乗せてくれよ。使い方知らねぇんだ」
「分かった。―――窮屈だろうけど、これで我慢してくれよ」レアバードは1台につき1人乗りである。バッキーを膝の上に乗せながら、レアバードを始動させる。
「あぁ、我慢してやらぁ。どうせあいつらに追いつくまでの間だ」
「よぅし、しっかり掴まってろよ!」




「―――そうだ、気になったんだけどさ」
空の上で、ロイドがふと疑問をぶつけた。
「あぁ?」
「あの2人とお前ってさ、どういう関係?」
「ただの子分だ!―――いや・・・」
「?」
「血の繋がらなくなった兄弟・・・かな・・・」
「兄弟か・・・どことなく似てたもんな・・・」さらわれた2人の様子を思い返し、頷くロイド。
「・・・あれ?『血の繋がらなくなった』って?」
「説明すると面倒臭ぇからな、後でマサキにでも聞いとけ」
「わかったよ」苦笑しつつ答えるロイド。
―――日は、沈み初めていた。



「―――あいつ等、来るかな?バカじゃなさそうな奴も数人いたし」サレが呟いた。
「―――来るよ。そういう奴等さ」ミトスが、当たり前だろう、といった感じで応じる。
「ま、そうだよね。全く、似てないのは顔と性格だけだね、どこの世界も」
「・・・あぁ。しかも、そういう奴等に限って僕等は勝てない」
「そんな話ばっかり聞いてると、嫌でも信じなきゃいけないようで困るな」
「何を?」
「思い、って奴さ」
「・・・君は、今は信じてないのかい?」
「あぁ。僕のプライドが許さないからね」
「思い、か・・・」ミトスは、空を見上げ、呟いた。
(―――思いはあるさ、サレ。僕自身、思い続けて力を手に入れたんだから)自らの人生を思い出しつつ、そっと首に触れる。
(僕は今、思いを伝えられない。けど君たちならきっと―――)そう思った時、2人は同時に振り向いた。



「見つけたぞ、ミトスッ!!」ロイドが降り立ち、構える。
「来ると思ってたよ・・・」ミトスもロイドを見据え、詠唱に入る。
「あいつらを返しやがれぇッ!」闘牙が先手必勝と一気に詰め寄るが、サレにあっさりと止められる。
「2人だけ?拍子抜けだねぇ・・・」身長差、そして剣技で闘牙と互角に戦いつつ、呆れたような声を発する。
「俺たちは勝手に出てきたんだ!そっちだって2人じゃねぇか!!」短い詠唱時間で放ってくるジャッジメントを防御しつつ、持ってきたエナジーブレットをミトスに投げながらロイドが言い返す。
「数の上では2対2・・・だけど、実力では?」エナジーブレットを飛び上がってかわし、肉迫する。
「君たちは確かに強い。だが・・・、個々の力では新たな力を得た僕等には勝てないのさ!」サレがそう言うと、2人の周りに見えないエネルギーが迸った。
「なっ!?」「ぐっ!!」突如発されたその攻撃で数メートル吹っ飛ばされたが、2人とも何とか持ちこたえる。
「どうだい?僕等はまだ、実力の3分の1も出しちゃいないよ?」
「くっ・・・!」
「まだだ、まだ・・・」何とか体勢を立て直す2人の前に、
「・・・さよならだ」
「もう駄目さ、君達は」黄泉還った2つの悪魔が肉迫する。
(負ける・・・?)2人がそう思った瞬間、



「撃ぇーーッ!!」
少女の声とともに、いつの間に来ていたのか2隻の船が並び、その上からサレとミトスへ砲撃が集中する。
ビーム、ミサイル、魔法など様々な弾が飛んでいるが、1つとしてロイドと闘牙に触れる物はない。
「ちぃっ!余計な邪魔を!!」
「・・・今はまだ、そのときじゃないってことさ。決着は後ででもつけられる。ここは退こう」
「・・・仕方ない・・・!」サレが名残惜しそうに背中を向けたと同時に、2人が凄まじいスピードで撤退していく。
「助かったのか・・・けど・・・」
「これは・・・」唖然とする2人の頭上へ、
「アンタ達!ロイド・アーヴィングと、破牙丸ですわね!?」と、メガホン越しに先ほど一斉射撃を支持した声がかかる。
「え!?あ、あぁ!!」味方らしいという事だけは感じたロイドが叫び返すと、
「なら詳しい話は後でまとめてするから、さっさと乗りなさい!」と、片方の船が下りてきて、タラップが下がる。
「まだ事情がよく飲み込めないまま、2人は中へ乗り込んだ。」



「―――とまあ、こういう事です」
数分後、ブリーフィングルームに案内された2人(破牙丸は戻った)は、「ロック」「ロール」と名乗る男女から説明を受けていた。
「・・・つまり、そっちもさっきここに飛ばされて、たまたま通信が繋がった飛行竜側から頼まれた、と」
「位置も近かったからね」
「・・・なんか、思いっきり怪しいよな」
「そう思われるのも無理はないか・・・。ま、おいおい分かってもらえるだろうし。とりあえずゆっくりしてて」
「艦内は自由に歩き回っていいから。ただし計器類や動力部はいじらないこと!」
「そんな事は言われなくても分かってると思うよ。じゃ、僕達はこれで」
先ほどの戦闘からまだ十数分。少しは落ち着いてきたとはいえこの2人がゆっくりできるはずもなく、真剣な面持ちで話し合う。
「この艦は・・・、多分大丈夫だろう。敵意みたいなものは全く感じない」
「出来過ぎている・・・と言っても、オイラ達が会ったことだって出来過ぎてるしな」
「そうだな。それよりも・・・ミトス達は・・・」
「あぁ、『新たな力』とか言ってやがったな。オイラは知らねぇが、前はもっと弱かったのか?」
「『弱い』って言える程じゃないけどな・・・。けど、昔戦った時より段違いに強かったのは確かだ。
多分サレって奴もそうだろう」
「ってことは、02や03も・・・」
「あぁ。多分・・・っ!?」ロイドが何かに気付き、立ち上がった。数秒後、しまったという表情で頭を抱える。
「どうした!?」
「・・・っくしょーっ!先生の言う通りだった!!」
「え?な、何がどうなってんだよ!!」
「ハメられたんだよ俺たちは!!俺たちを襲った時、ダオスって奴がいただろ!?」
「あのレーザー撃ってた奴か?」
「そうだよ、確かクレスが『ダオスはワープで瞬間移動できる』って言ってたんだ。
考えてみろよ。俺達がミトスやサレと戦っていたとき、あいつはいたか?」
「あっ・・・!」バッキーも気付く。
「サレとミトスはわざと歩いてたんだよ、俺達みたいに熱くなった奴を誘き寄せるために!!」
「・・・ッ!」もう言い訳できなかった。
自分達は最初から負けていたのだ。
生き延びられたのは、運が良かっただけに過ぎない。
初めから、何をしても無駄だった―――
そのことと、自分達の無力さに対する悔しさが、やり場のない怒りをとめどなく溢れ出させる。
「くっそおぉぉ!!」壁を殴りつける。何回も何回も。
飛行竜でも同じことをやったが、あの時はまだ希望があると思っていた。だからこその怒りだった。
だが今、その希望は断たれた。今までと同じでは駄目なのだ。
―――強くならなければ。
2人はいつしか、同じことを考えていた。



「あなた達は・・・ッ!!」
到着早々待っていたのは、リフィルの平手だった。
「・・・」
何も言えない。隣を見ると、バッキーも同じように殴られていた。
「だから言ったでしょう、感情だけで動いては駄目だと!その場の思いつきで出ていって、上手くいったためしがあって!?」
「・・・ごめんなさい」
そのまま俯いていると、ふいに温かく包まれる感触があった。
「そんなに・・・私達が信じられない?みんな―――みんな怒りを感じながら、必死に考えているのよ?  だから、そういう人たちを信じて待ってあげて・・・」
「先生・・・」
ロイドは感じていた。
顔に落ちる雨と、それに籠った優しさを。




飛行竜・船長室





「―――では、君達はこちらに協力し、共に行動してくれると」
「あぁ。どうやらこちらの問題も絡んでいるらしい。  敵も一緒、目的も一緒・・・なら、協力こそすれ、争う理由はないだろう」
船長室では、なぜか顔の前で肘をついて指を組んだクラトスと、零児・小牟が話し合っていた。
「だろうな。こちらも手探り状態で、心許なかったところだ。  そこにあの戦力・・・大変心強い」
「そいつは重畳。こっちもある程度の手掛かりはあるが、敵の全貌が分からない以上、仲間は多い方がいいからな」
「では、今後は基本的にそちらが持っている情報の通り動こう」
「助かる。あとでデータを送るが、そのあとで考え直してもらっても構わない」
「フッ・・・、ここで断ったら、私達に行く宛てはないさ」
「・・・だったな。とりあえずこっちからも出来る限りの情報提供はさせてもらう」
「助かる」
「うむ、大方まとまったところでいいか?一つ気になるところがあるんじゃが・・・」
「なんだ、小牟?」
「そのポーズは・・・アレか?」
「さぁな」
「この展開も『シナリオ通り』というやつか?」
「そちらの想像にお任せする」
そう言ってにやりと笑うクラトス。
「・・・?」
アニメをあまり見ていない零児には、二人の言っていることがさっぱりだった。









酢捨痕餓鬼!!

作:ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなs(ゴッ
リ:散々遅れた挙句、いきなりマイナーなネタで話を始めるなっ!
作:(頭押さえつつ)そうかぁ?結構有名だと思うぞ、ひぐらし
勇庵:いや深夜アニメだし。元は同人だし
作:・・・やっぱり?
リ:うん
ツ:うん
作:・・・反省します
リ:ま、あまりバカやってても話が進まないからこれくらいにして・・・アンタは高専入ってから、さらにヲタに磨きがかかってきたわね・・・
作:照れるなぁ
リ:褒めてない
作:まぁ確かにPCからは離れられなくなったが、NEETなんぞになる気はないさ。
ちゃんと勉強してるし、バイトにも行くし
勇庵:頑張れー
作:おう
ツ:自分で打ってて悲しくないか
作:うんorz
リ:ほらほらシャキッとする!凹んでても誰も同情なんかしないんだからね!
作:ういうい・・・
えーと、次回は3/1でもちらっと触れた「餡刻」と勇庵が主軸です。
勇庵:餡刻は読みの通り暗黒騎士。相当強いんだが、なぜか普通のプレイヤーには見えない。
見えるのは俺や獣様など、一部のプレイヤーだけだ。この辺りは3/1で貼ったリンクのキャラ紹介に詳しく書いてある
作:だから自分で予習復習くらいはちゃんとしとこうねって話でした。
はい、ではこれで後書き終了!
リ:え?今回早くない?
ツ:それだけ面倒臭がってるってことだな
作:・・・サーセン








新キャラ達の待機部屋wwwwww

 

影唄:・・・えーと、上の通り作者が物凄い面倒臭がりになったので、方針が変更になったそうです。
今回から待機キャラから二人選び、進行を担当する・・・というシステムを取ります。ということでオスカー、宜しく
Oscar:あ、こちらこそ宜しくです。
しかしなんで僕なんかが選ばれたんでしょうかねぇ・・・
影唄:・・・竜姐さんを出すにしても、通訳として結局あなたが必要だからでしょう
Oscar:あ、なるほど
影唄:こういう細かいところにも作者の不精さが覗えますね。
・・・で、待機中の方はっと・・・



―――はぁぅ〜!アリ(ピー)ちゃんもア(ピー)スちゃんの人形も、みぃんなかぁいいよう!お持ち帰りぃ〜!!
―――ち、ちょっと!お持ち帰りって・・・!魔理(ピー)、霊(ピー)〜!どうにかしてよ〜!!
―――残念ながら私でも無理っぽいわ。悪いな、諦めてお持ち帰りされてくれ
―――人攫いは私の専門じゃないのよね〜、まぁ頑張ってきなさい
―――薄情者ぉ〜!!
―――止めなかったけど、大丈夫だろうか・・・
―――まーあんま実害ないしね、どうにかなるよ。それより(ピー)ちゃんはこの状況をどうにかした方がいいと思うね。このままだとおじさん勝っちゃうよ〜?
―――そうなったら、今度は圭(ピー)さんがお持ち帰りされるかも知れませんわね?おーっほっほっほっ!!
―――人攫いの被害者第二号になってしまうですよ、にぱ〜☆
―――うぅっ、そうだった・・・冗談じゃねぇ!こんなとこでも恥ずかしいカッコさせられてたまるか!!
―――さぁさぁ(ピー)ちゃん、頑張らないとお姉がガンガン攻めてきますよ〜?あ、もちろん私も
―――ちょ、ま、マジっすかー!?
―――カリカリモフモフカリカリモフモフ
―――よく食べるなぁ本当に・・・。ほらシャ(ピー)、これで最後のメロンパンだよ
―――何勘違いしているの?
―――へっ?
―――まだ私の食事は終了してない!
―――なに言ってるんだよ、もうメロンパンは全部食べちゃったじゃないか
―――速効魔法発動!パシリ!!
―――パシリ・・・って僕の事かよ!ってかパクリじゃん!!
―――お札を全て捨て、効果発動!こいつは100円以下の小銭が出るまで何枚でも小銭をドローし、悠(ピー)に渡すカード。そしてその数だけ、定価105円以下のメロンパンを、追加購入させてくることができる!!
―――ええええ!?それって5円僕が損するんじゃ!?
―――さぁ行くよ!まず1枚目、ドロー!小銭、500円玉を悠(ピー)に渡し、メロンパン、追加購入!!
―――話聞けよ!!
―――二枚目ドロー!!100円玉!!
―――買って・・・来るであります!!
―――追加購入!!
―――ヴィルヘルミ(ピー)さんがブレイ(ピー)役かよ!!
―――楽しそうだねぇ、私もああいう無邪気な時があったなぁ・・・
―――な(ピー)はな(ピー)は、言い方がちょっと年寄りに聞こえるよ
―――え?やだなぁフェイ(ピー)ちゃん、私はまだまだ現役の魔法少(ピー)だよ?
―――嘘 だ ッ !!
―――ティア(ピー)、その発言は・・・
―――ちょっと、頭冷やそうか・・・
―――なぁ相棒、あちこちから俺と同じ匂いを感じるんだが・・・
―――うん、類は友を呼ぶって言うけど、まさにそれだね



影唄:・・・あの
Oscar:・・・増えてますね
影唄:しかも次回出る予定の方々の紹介はなしですか
???:ちょーーーっと待ったぁーー!!
影唄:【えっ!?】緋乃さん?
緋乃:そのTab変換は何なんですか・・・。
まぁいいや。とにかくまだキャラ紹介は終わってないですよ!まだ新規参加予定のキャラが喋ってただけじゃないですか!!
Oscar:ですねぇ・・・、どうもおかしいと思いました。ご主人様出てませんし
影唄:しかし飛び入りでいきなり次回参加とは・・・
緋乃:いえ、私が出るのは前から決まってたみたいですよ?作者が告知を忘れてただけで
影唄・Oscar:・・・
影唄・Oscar:あのダメ作者っ!
緋乃:まぁまぁ・・・。
では改めて。私が次回新規参加予定の緋乃です、宜しく(ぺこり)
影唄:私も次回出るんでしたね。かなり酷い役回りらしいですが・・・
緋乃:まぁまぁ・・・私も出番ちょっとしかないらしいですし
Oscar:お二人ともいいなぁ・・・僕達はまだしばらくしてからだそうなんですよ
影唄・緋乃:あっ
Oscar:orz
緋乃:げ、元気だしなよオスカー。その代わりたらふく食べられるって作者言ってたじゃない!
影唄:そ、そうですよ!幸せな登場の仕方ができて、きっと竜姐も喜んでますって!!
Oscar:ぐすん、お二人とも・・・ありがとうございます・・・。
そうですよね、かなりいい待遇が受けられるのに贅沢は言えませんよね!!
緋乃:そうだよ、希望を持って!!
影唄:待ったぶんだけ見返りはありますよ!
Oscar:えぇ、期待して待ってみます!
ではそろそろ・・・
影唄:そうですね。あまりぐだぐだ話しているわけにもいきませんし。
緋乃:では、次回1/4「黒き思い、激闘の果てに」でまた会いましょう!!