ザ・グレイトバトルスペシャル 〜2〜 バトルコマンダー前編 「宿命」

 

 

ズバ!!

 

チンピラ「ぎゃああああああ」

 

エトワスの村から響く爆音に紛れて、恐怖の叫びがカルケディスに轟く。3体のチンピラはあっという間にまっぷたつになってしまい、6つの大きな塊になってしまった。
塊からはオイルという名の血が止めなく流れ続け、エミィの行く手を阻むかのように道を紅く染める。

 

「久しぶりだな まさかこんなところで再開するとは思わなかったぞ!」

 

声を聞いた瞬間、エミィはその剣士に対しいきなり睨み付けた。さっきまでお礼を言おうとしていたときの顔が嘘であったかのように。

 

そして、姿を現す巨大な影。

 

現れたのは白い兜と甲冑を着た青眼の剣士。

 

剣と携えた影は近くで見ると身長3mくらいの大巨体であり。エミィの2倍もある身長である。その剣もエミィとほぼ同じサイズである。
エトワスの村で起こる爆光が、その巨大な影に対してさらなる威圧感を増大させる。

 

「久しぶりだな!我が妹よ!」

 

なんと剣を振った正体はエミィの兄であるロアであった。そこには仲良かった兄妹の雰囲気はまるでなく、むしろ憎悪と怒りが空気を支配していた。

 

爆音と煙が立ち込める村を背景に二人の兄妹が対峙する。その光景はまるで二人の関係をそのまま表しているかのような雰囲気であった。

 

エミィ「リバース四天王ロア!まさか、こんなところで会えるとは思ってもみなかったわ!!」

 

エミィが秘剣ハインドスレイヤーを抜いてロアと同じような構えをした。ロアが編み出した故ついた名前が「青眼の構え」。現在の剣道で使われる型である。
この構えを取るということは生死を賭けて戦う意思の表れでもあった。

 

ロア「あれだけ暴力を嫌ってたおまえにその構えを使うとはな!」
エミィ「・・・」

エミィは微動だにせず、ただロアをにらみ付ける。そこでロアが口を開いた。

ロア「まあいい、俺は太古兵器のαアジールを作動させにきたが、どうやら機動族が代わりに私の仕事をしてくれるらしい」
エミィ「まさか!・・・どいて!いや!どきなさい!!」
ロア「何度も言ったはずだ!この戦いの時代、武勇の腕なくして生きられぬと!!自分の想いを貫きたいなら、私を倒してみろ!!」

ロアが剣を強く握りしめ、さらに威圧感を増大させるなか、エミィも負けじと強く剣を握った。

エミィ「っく!でも、もう昔の私じゃない!私はあなたの決別したのよ!あなたを殺してでも前へ進んでみせる!!」
ロア「よくぞ言った!・・・エミィよ!私が教えたすべてを見せてみろ!!」

 

エミィがハインドスレイヤーを構え、ロアが巨大剣「闘竜王」を構える。
エミィがローブを脱ぎ捨て、ロアの方に投げた。そして、エミィは一気にロアに詰め寄る!

 

エミィ(ロアはマントの影から切ることを予測して、必ずマントを避けるはずだわ。その隙を見て、この場を抜ける!)

 

エミィはハインドスレイヤーを逆手に構え、ロアがマントを斬りつける合間をくぐりぬけ、そのまままっすぐ突き抜けようとした。

 

だが、ロアが一枚上手だった。マントで視界が奪われている中、ロアはエミィの移動の軌跡を読み、エトワスへの道をぶった切る。
地面は大きく裂けてしまい、エミィも思わずたじろいでしまった。逃げるチャンスを逃してしまったのである。

 

エミィ「!!」
ロア「おまえの甘い癖はやはり治っていないな!!わが剣術をなめるな!!」

 

ロアが一気に剣をなぎ払う。その衝撃でエミィは遠くまで吹っ飛ばされ、受身も取れないまま地面に激突した。

 

ロア「おまえの実力はこんなもんではないはずだが・・・。残念だな」

 

ロアはエミィの喉元に剣刃を向けた。

 

エミィ「っ!」
ロア「我が妹と言って、買いかぶりしてたな。しかし、所詮は女。殺す価値もない。」

 

ロアは剣を納めた。エミィはロアの不適な笑みを見つめながらそのまま気絶してしまったのである。

 

ロア「ふ、俺も甘いな・・・」

 

 

 

爆音が響きわたるカルケディスの空は赤く染まり、黒煙が支配している。多くの動物は逃げ惑い、森は悲鳴をあげる。

 

エミィが気絶している間に機動族はαアジールのスイッチに手をかけてしまった。αアジールの口から巨大なメガ粒子砲が発射されてしまったのだ。
瞬く間もなくαアジールの大砲をカルケディスの森は消滅してしまったのである。文字通り木っ端微塵に吹っ飛んでしまった。

 

F91「これほどの威力のものなのか!!古代兵器、古の戦争の規模が容易に想像できるな・・・」

 

古代兵器を作動させた機動族本人らが驚いている中、エルガイムMK-IIは怒りをあらわにした。

 

エルガイムMK-II「なっ、なんてことを!貴様らは自分たちさえ勝てればあとはどうなってもいいというのか!!この森がここまで大きくなるのに何千年かかってると思ってるんだ!!」

 

そして、エルガイムMK-IIの怒りは頂点に達した。

 

エルガイムMK-II「しかもこの森の中には大勢の動物達が生活していたのにそれも貴様らが奪ったのだ!!私は貴様らを決して許さんぞ!わが全兵力をもって貴様らをたたきつぶす!!
         出撃できる兵士はすべて出せ!発見次第撃って撃って撃ちまくれぇー!!」

 

日出族と機動族の戦いは泥沼の事態を迎えてしまった。

 

果たしてエミィの運命は如何に?そして、戦争はどうなってしまうのか?

次回 ザ・グレイトバトルスペシャル 〜3〜 バトルコマンダー前編 「暗躍」